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次の100年後へ ~柳川藩主立花邸 御花~

2016/6/20

家にある写真を整理していたら、こんな古い写真がでてきました。

どこかの大きな御屋敷のテラスで、母と姉と3人で写っている写真です。

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(プライバシー保護のため、モザイクをかけております)

 

母に抱かれている私がたぶん1歳くらいなので、おそらく30数年前の写真かと思われます。

よく見ると、この風景どこかで見たような…

 

 

あ…  職場だ。

松濤園(対月館テラスより)

建物の配置、方角から推測して、対月館テラスから撮った写真だということが判明しました。

おそらく柳川に観光に来たときの写真だと思われます。

 

1歳の私に教えてあげたい。

将来生まれ育った広島から福岡へ移り住み、何やかんやであなたが今ここに立っている(というか、座っている)歴史ある場所に就職し、少し疲れた時、後ろに広がる美しい松濤園を眺めながら仕事するんだよとか、教えてあげたい。

 

では、ここで昔と今の写真をくらべてみましょう。

何点か変わっているところがありますが、わかりますか?

ビフォー

ビフォー

アフター

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは、ホテルや宴会場がある松濤館が建ちました。(赤丸部分が松濤館)

松濤園(対月館テラスより)

松濤館は1984年築なので、ビフォー写真から数年後に建てられたようです。

築年数からすると、私の少し後輩ということですね。

 

続きまして、東庭園の奥にあった蔵が……消えました。

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この蔵には何が入っていたのか…。蔵好きの私は大変気になっております。

古写真にも写っている蔵。気になります。

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現在はこの蔵があった場所は、芝生が気持ち良いガーデンとなり、今の時期はバーベキューが楽しめます。

毎年8月には七福神夏まつりも開催され、地域住民の方に愛される場所になっております。

 

もう少し30年の変化を見てみましょう。

昔と今の写真を見比べると、昔のほうがテラスが下がった位置にあることがわかります。

(手前の大広間や松濤園の見える角度が、今の写真と比べて違うのがわかるでしょうか)

実は現在までに対月館は二回ほどリニューアルしていて、テラスの感じや位置からすると、昔の写真の対月館は最初の建物だったようです。

最初の対月館はテラスの幅が広く、従業員はそこでラジオ体操をしていたとか。健康的ですね。

 

古くから御花を知っている方から「御花さんは昔温泉があったもんね~」と衝撃の情報を聞き、「うそ~!?」と思っておりましたが、証拠の写真を学芸員から見せてもらいました。

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温泉名はこれまた衝撃の「野鴨の湯」。

温泉があった場所は、今の対月館の1階だったようです。源泉を川の向こうからひいていたとか。

 

きっと温泉に入るとこんな感じだったんでしょうね。

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温泉に何度か浸かったあと、身体の火照りを冷ます人たち

 

終戦後、立花家が旧伯爵邸を利用した料亭旅館を営み60余年。

「あの立花家の御屋敷に入れるなんて、当時は思いもしなかった。」と、昔を知る柳川の老舗旅館の女将さんから何度もその言葉を聞きました。

 

旧伯爵家が屋敷を料亭旅館にするということは、今の私たちが想像する以上の大変な決断であり、沢山の苦難があったことと思います。

しかし、郷土柳川と共に在り続けるために、御花は絶えず変化を続けてきました。

 

そして、次の100年後の世代に私たちの想いを、思い出を引き継ぐために、大広間の改修工事を行うことになりました。

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「ずっと変わらないために、生まれ変わります。」

ポスターを見たとき、この一文を見て目が潤みました。

 

今の御花があるのは、100年前の、そしてそれよりもっと前の、沢山の先人たちの想いが引き継がれてきたからです。

その想いを引き継ぐために、生まれ変わるためのこの1年間は大切な時間だと思っています。

 

しばらく大広間に会いに行けないのは寂しいですが、おじいちゃん大広間がちょっと若返って、イケメンになって戻ってくるのを楽しみにしています。

 

今の大広間が見られるのは今月まで。

今のうちに大広間に会いに来てください。

 

(小栁)

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